思いやりと気遣いのレザー職人をめざして

先日、髪を切りに行きました。ちょうど1か月ぶりです。ショートヘアなので、少し伸びて前髪が目にかかりだすとがまんできなくなってしまいます。

なので、ほぼ1か月おきのペースで美容院に行かなければなりません。ここ数年、同じ美容室を利用しているのですが、特段変わった髪型でもないので、決まった美容師さんを指名することもなく、いろんな方に切ってもらっていました。

毎回、「どういう風にしましょうか?」と聞かれるので、ほぼ毎回同じようにリクエストしていたつもりなのですが、毎回仕上がりが違うんですよね。

自分で思うイメージがあるので、できるだけわかりやすく伝えてるつもりなのですが、施術する美容師さんによって、まったく違う髪型になってしまうのです。

これまで、一度も自分のイメージ通りの、満足いく仕上がりになったことがないんです。

料金の高い、高級な美容室に行っているわけではないので、自分の伝え方が悪かったんだなとしぶしぶ諦めていました。

それが、先月行った時、初めて自分のイメージ通りの仕上がりになったではありませんか!

全体の感じを見せてもらったとき、「そうそう!これこれ!」と感動し、美容師さんのお名前をチェックして、次回からは指名しようと、意気込んで先日行ったのですが、残念ながらその方不在で、仕方なく他の方にやってもらいました。

ちょうど1か月経っているので、今のスタイルをそのままで、全体的に1㎝くらいカットしてください。と伝えました。相手もプロの美容師さんですし、現状を見たらどうカットすればいいかはわかるだろう。

1か月前のスタイルを再現してもらえるだろうと、美容師の知識を全く持ち合わせていない私は、甘く考えていました。「あー やっぱり違う・・・」これで1か月我慢するしかないな。

自分の頭の中に描いたイメージを、人に伝えることは、なんと難しいのでしょう

同じ言葉でも、自分と他人の受け取り方やニュアンスは同じではないし、自分の常識が他人には非常識だったりということだってありますよね。

美容師さんにしても、同じように技術を学ばれているのでしょうけど、一人一人の感性や、学びの度合いが違ったりして、私のように感じてしまうこともあるのかなと思います。

それは、どんな世界、どんな関係だって起こりうることだと思うのです。

夫婦の間であっても、些細なケンカの時「そんなこと、言わなくてもわかってることだろう!」とよく言われるのですが、「私はあなたではないので、ちゃんと言ってくれないとわかりません」と返します。

何十年連れ添っていても、100%阿吽の呼吸で相手の気持ちがわかるなんてことはないと思うのです。

ましてや、それが全くの他人であったら、それこそ自分の思い通りに伝えることは、相当努力しないと難しいです。

我々の仕事でも、それはありうることで、そうならないように、受け取る側の私たちが精いっぱいの気遣いをしなければいけないと、強く感じています。

お客様からオーダーいただいた時に、できるだけ詳細に、事細かくご要望をお聞きして、お客様のイメージ通りの作品を製作する。そうでなければ、鷹工房に依頼していただいた意味がなくなってしまいます

我々もまだまだ未熟で学ぶべきこともたくさんあります。

それでも、お客様に比べると持っている知識は多いので、ついつい自分がわかっていることだから、相手もわかるだろうという、思いやりのない対応をしがちになることがあります。

でも、それは絶対にやってはいけないことで、専門知識のないお客様にもわかりやすく、納得いただけるようきめ細かな打ち合わせをしなければいけないと思っています。

オーダーしてでも自分のオリジナルを手に入れたいと思っているお客様には、それ相当の拘りやご要望があると思います。

それを、我々が自分の常識にあてはめて決めて行っては、ご希望通りの作品はできないと思うのです。

お客様のご要望が優先なので、まずはどんなご要望でも一旦お伝えいただいて、それを踏まえてからのご提案をして、お互いに納得できるところに持っていく。

より良い作品を製作するために、細かい気遣いをしながら、自信を持って職人としてのアドバイスや提案をして、お客様に心から喜んでいただける、そんな仕事をしていきたいと思っています。

鷹工房に頼んでよかった。そう言っていただけることが、笑顔を見せていただけることが我々の一番の喜びです。

思いやりと自信を持って、一針一針 心を込めて、お客様の夢を形にするお手伝いをさせていただきます

 

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